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薬師寺 その2■ふたつの塔
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写真手前から、西塔・金堂・東塔の並び。
金堂は、二重二閣に裳階(もこし)をつけ 龍宮造りと呼ばれる鮮やかさ。
その金堂には、白鳳時代の国宝・薬師三尊像が並んでいます。
法隆寺や東大寺と並び、歴史の教科書によく登場される仏さま!
ブロンズなので、1300年ほど経ていらっしゃるとは驚きの艶でした。


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国宝・東塔

白鳳時代(伝730年)に創建された 三重塔。
裳階(もこし)と呼ばれる小さな屋根が
あるため6重のように見えます。
屋根の頂上の水煙には、24体の飛天の
透かし彫り。(肉眼では見にくいですが・・)



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東塔を下から見上げてみる・・と、さすがに傷みが見えます。
今年(2011)から2018年までの間、明治以来1世紀ぶりの解体修復
行われる予定で、7月現在は構造の調査などが行われているようです。
来年度には解体が始まるので、その前に見ることができ良かったです。(2010.11)

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そして、東塔から金堂を挟んで向かい側には 西塔があります。
こちらは、江戸時代に消失したものを 昭和56年に復興させたもので
金堂や大講堂と意匠を統一し、白鳳様式で現代に蘇らせています。

これらの薬師寺の伽藍再建の棟梁は、宮大工西岡常一氏(1908-1995)。
奈良に生まれ、法隆寺の解体修復も手がけ「最後の宮大工」とも呼ばれる西岡棟梁。
私が高校生の頃に、西岡棟梁の『法隆寺を支えた木』『木に学べ』等の著書を読み
深く感銘を受けたため とても尊敬している方です。


法隆寺の棟梁が受け継ぐのは口伝のため、文字にはされていないのですが
西岡棟梁の言葉からは、人として大切なことや 自然との関わり方 先人の知恵等
大工でなくても学ぶことが沢山ありました。「木を組むには人の心を組む」のが
棟梁の役目であり、「木のクセを見抜いて 適材適所に使う。」こと。

樹齢1000年のヒノキを使えば、堂塔は1000年持つ。でも今の日本にはそうしたヒノキが
残っていないため 台湾まで買いにいかなければ・・というお話はショックでした。
また、木材は 建築物となってからも生き続けているのだと教わりました。




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西塔
西岡棟梁の著書には、年代の古い東塔も
何度も手が加えられ 室町時代の形式に
なっているので、この新しい西塔のほうが
創建当時の姿に近い白鳳の形 とあります。
東塔も、かつてはきらびやかだったことが
分かっているそう。



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西塔の土台
土台部分は、東塔の倍くらいの高さで
塔全体の高さも 西塔のほうが明らかに高い。

長い時間をかけて塔の重みで地盤沈下が
おきるので、500年後に東西の塔の高さが
揃うように計算されているとか!



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建築から1300年前の飛鳥人の想いを読み取ったり、樹齢1000年の木を再び
生かしたり、数百年先の世に残すことを考えたり・・。西岡棟梁の温かく大きな心と
宮大工としての深い哲学に敬意を持って、長い時間 ふたつの塔を見上げていました。

幼稚園の時、将来の夢は「大工さん」と書いた私。
職種は違っても、道具を使いこなし物をつくり出す人への憧れは、今も変わりません。
また、私は山や森が好きで 木を見たり触れることも多くありますが、その根底には
西岡棟梁の思想の影響が 大きくあると思います。

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時代を経て、数百年後の薬師寺の姿を見てみたいものですが
西岡棟梁亡き後 まずは東塔の解体修理完成を待ちたいと思います。

■法相宗大本山 薬師寺
 奈良県奈良市西ノ京町457 近鉄・西ノ京駅下車すぐ
 http://www.nara-yakushiji.com/


 「今のように、なんでも人間のおもったとおりにできるのがあたりまえと
  おもっているのがおかしいのや。
  木も人間も自然の中では同じようなもんや。
  どっちか一方がえらいゆうことはないんや。
  互いに歩み寄ってはじめて ものができるんです。
  それを全部人間のつごうで どうにかしようとしたら、あきませんな。」 
                 西岡常一『木に学べ』1988 
by sumi2211 | 2011-07-31 03:32 | Travel -12 Japan 10 | Trackback | Comments(0)
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